障害者雇用は生活できないって本当?解決策まで解説
- 障害者雇用は給料が安くて生活できないって本当?
- 障害者雇用の現実を知りたい!
- 障害者雇用で生活していく方法は?
このように思っている方は多いのではないでしょうか?
結論から言いますと、障害者全体の平均給料は低いです。
ただし、給料の低さには理由があり、理由をきちんと理解すれば、上げていくことが可能です。
そこで今回は、障害者雇用の給料が低い理由を解説し、その解決策までお伝えします。
- 障害者雇用を検討しているが、給料面で不安のある方
- いま障害者雇用で働いているが、これからの生活に不安のある方
記事の内容は以下です。
- 障害者雇用の給料の実態
- 障害者雇用の給料が低い理由
- 障害者雇用「給料が低い問題」の解決策
この記事を読むことで、障害者雇用「給料が低い問題」の実態と解決策が分かります。
この記事を書いている筆者は、双極性障害です。
障害者目線で解説します。
厚生労働省のデータを用いながら分かりやすく解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
障害雇用の給料の実態
まずは障者雇用の給料の実態を見ていきます。
日本人全体と障害者の平均月収をまとめました。
対象 | 平均月収 |
日本人全体 | 30.9万円 |
身体障害 | 21.5万円 |
知的障害 | 11.7 万円 |
精神障害 | 12.5万円 |
発達障害 | 12.7万円 |
参考:平成30年分民間給与実態統計調査結果について(国税庁)、平成30年度障害者雇用実態調査結果(厚生労働省)
冒頭でお伝えした通り、障害者の給料は日本人全体と比べて、非常に低いことが分かります。
障害者だけで見ますと、身体障害の給料が一番高いですが、それでも日本人全体の3分の2です。
知的/精神/発達障害に関して言うと、日本人全体の半分にも及びません。
なぜ、障害者雇用と一般雇用にここまでの差があるのでしょうか。
障害者雇用の給料が低い理由
障害者雇用の給料の低さには理由があります。
理由は下記の通りです。
- 非正規雇用が多い
- 労働時間が短い
- 勤続年数が短い
- 単純作業が多い(事務補助、清掃、軽作業など)
理由を1つ1つ見ていきましょう。
① 非正規雇用が多い
障害者の正規雇用と非正規雇用の割合を表にまとめました。
対象 | 正規雇用 | 非正規雇用 |
日本人全体 | 62.1% | 37.8% |
身体障害 | 52.5% | 47.1% |
知的障害 | 19.8% | 80.0% |
精神障害 | 25.5% | 74.4% |
発達障害 | 22.7% | 77.2% |
参考:労働力調査 平成30年平均結果の概要(総務省統計局)、平成30年度障害者雇用実態調査結果(厚生労働省)
障害者の正規雇用で働く人の割合は、非常に低いことが分かります。
これが、障害者の平均給料を下げている理由の1つです。
特に、知的/精神/発達障害の正規雇用で働く人の割合は、その低さが顕著に表れています。
日本の非正規雇用は、正規雇用と比べると待遇が悪く給料も低いため、平均値もぐんと下がっています。
② 労働時間が短い
下の表は、障害者の1週間に働くことになっている時間(所定労働時間)です。
対象 | 30時間以上 | 20〜30時間 | 20時間未満 |
身体障害 | 79.8% | 16.4% | 3.4% |
知的障害 | 65.5% | 31.4% | 3.0% |
精神障害 | 47.2% | 39.7% | 13.0% |
発達障害 | 59.8% | 35.1% | 5.1% |
表を見ると、1週間に30時間以上働く人が少ないことが分かります。
一般雇用のフルタイムで働く人は、1週間に約40時間(1日8時間×5日)働く人がほとんどですので、1ヶ月の給料に差が出るのは当然です。
これに加え、一般雇用の人は、残業時間が障害者雇用の人より多いため、月収の差がさらに広がります。
③ 勤続年数が短い
障害者の平均勤続年数を表にまとめました。
対象 | 平均勤続年数 |
日本人全体 | 12.2年 |
身体障害 | 10.2年 |
知的障害 | 7.4年 |
精神障害 | 3.2年 |
発達障害 | 3.3年 |
参考:平成30年分 民間給与実態統計調査(国税庁)、平成30年度障害者雇用実態調査結果(厚生労働省)
障害者の平均勤続年数は、日本人全体を大きく下回っていることが分かります。
特に、精神障害者は勤続平均年数が1番低いです。
理由は以下の通りです。
職場環境や仕事内容のミスマッチ、病気の悪化が挙げられます。
勤続年数が短いと、昇給が難しく給料が上がっていきません。
これも障害者の給料が低い理由の1つです。
④ 単純作業が多い
障害者雇用は、事務補助、清掃、軽作業といった誰でも出来る単純作業が中心です。
このことは企業が出す求人にも表れています。
下記表は、障害者向け求人サイト大手「dodaチャレンジ」の職種別求人数です。
職種 | 求人数(件)*2022年1月 |
---|---|
クリエイティブ系職種 | 10 |
事務系職種 | 975 |
企画・管理系職種 | 61 |
医療系専門職(医療/介護/福祉) | 4 |
営業職 | 13 |
専門職種(コンサルタント・マーケティング・不動産・士業系) | 2 |
技術系職種(IT/通信) | 163 |
技術系職種(建築/土木/プラント/設備) | 48 |
技術系職種(機械/電気/組み込み) | 67 |
技術系職種(素材/化学/食品/その他) | 17 |
販売・サービス系職種 | 42 |
金融関連専門職種 | 3 |
事務職が求人の大部分を占めていることが見て取れます。
これらの仕事は、障害者雇用に限らず、一般雇用でも給料が低い傾向にあります。
- 非正規雇用が多い
- 労働時間が短い
- 勤続年数が短い
- 単純作業が多い(事務補助、清掃、軽作業など)
障害者雇用「給料が低い問題」の解決策
ここまで、障害者雇用の給料の実態と理由を解説してきました。
ここからは解決策を紹介します。
解決策は以下の通りです。
- 支援制度を利用する
- 一般雇用の人と同じ労働時間働く
- よりよい待遇を求めて転職する
- 専門スキルを身に付ける
- 一般雇用に転職する
1つ1つ解説していきます。
① 支援制度を利用する
まず考えたいのは支援制度の利用です。
代表的な支援制度は5つあります。
- 自立支援医療制度
- 障害者年金
- 障害者控除
- 特別障害者手当
- 生活保護
インターネットで検索すると、制度を利用できる条件が分かります。
自分はどの支援制度を使えるのか、一度確認してみてくださいね。
② 一般雇用の人と同じ労働時間働く
次に考えたいのは、一般雇用の人と同じ労働時間働くです。
目標は、1週間に約40時間(1日8時間×5日)働くこと。
厳しいことを言いますが、労働時間が短ければ給料は低くなります。
一般枠の人と同じ労働時間働けるようになれば、自ずと給料は上がります。
給料が低いのを理由に障害者雇用から一般雇用へ転職する前に、どうしたら1日8時間働けるかを考えてみましょう。
(現実、1日8時間働けないのに一般雇用を選ぶのは厳しいです。)
1日8時間働くためには、「障害の理解」と「体調の安定」が必須です。
「障害の理解」と「体調の安定」に不安のある方は、就労移行支援の利用をオススメします。
大手の就労移行支援は、下記にまとめていますのでご覧ください。
③ よりよい待遇を求めて転職する
「②一般枠の人と同じ労働時間働く」ができるようになった人は、よりよい待遇を求めて転職するのもありです。
- 非正規雇用から正規雇用へ
- 給料の低い会社から給料の高い会社へ
ただし、長く安定して働くためにも、転職する会社は慎重に選びましょう。
いくら待遇が良くなっても、長く働くことができなければ意味がありません。
よりよい就職をするためには、転職エージェントを利用するのがオススメです。
転職エージェントをオススメする理由は
- 正規雇用の求人が多い
- 専任アドバイザーがついてくれる
- 自分の障害にマッチングした求人を紹介してくれる(→長く働くことにつながります)
- 応募書類の添削や面談の対策など、就職活動全般をサポートしてくれる
- 就職後も定着支援をしてくれる
おすすめの転職エージェントは下記にまとめてますので参考にしてください。
④ 専門スキルを身に付ける
上でもお伝えしましたが、障害者雇用の業務は、誰でもできる単純作業が中心であり、それが給料の低さに繋がっています。
逆を言うと、障害者雇用でも専門スキルを身に付ければ、給料UPを狙うことが可能です。
最近では、専門スキルを身に付けるための施設もありますので、活用してスキルアップを目指しましょう。
参考例)
>>atGPジョブトレIT・Web(Webスキルを身に付けることができる就労移行支援)
⑤ 一般雇用に転職する
最後に、一般雇用に転職するです。
しかし、これは非常にハードルが高いです。
下記グラフを見てください。
参考:障害者雇用の現状等(厚生労働省)
障害者雇用と一般雇用で就職した人の職場定着率です。
一般雇用(非開示)で就職した人の職場定着率は、障害者雇用で就職した人の半分程度しかありません。
一般雇用で就職した場合、多くの人は1年以内に辞めています。
つまり、障害者が一般雇用で働くことは難しいということです。
理由は、一般雇用では障害に対して配慮が受けられないからです。
そうは言っても、一般雇用は魅力的ですよね。
そこで筆者は、段階的に転職することをオススメします。
- まず障害者雇用で1日8時間働く
- 次に一般雇用に転職する
いきなりハードルの高い一般雇用を目指すのではなく、障害者雇用から徐々にステップアップする。
これが一般雇用で働くための1番の近道です。
- 支援制度を利用する
- 一般雇用の人と同じ労働時間働く
- よりよい待遇を求めて転職する
- 専門スキルを身に付ける
- 一般雇用に転職する
まとめ:障害者でも生きていける
いかがだったでしょうか。
障害者雇用の給料の実態、給料が低い理由、解決策を解説しました。
給料が低い理由は
- 非正規雇用が多い
- 労働時間が短い
- 勤続年数が短い
- 単純作業が多い(事務補助、清掃、軽作業など)
解決策は
- 支援制度を利用する
- 一般雇用の人と同じ労働時間働く
- よりよい待遇を求めて転職する
- 専門スキルを身に付ける
- 一般雇用に転職する
でした。
ご自身の状況と合わせて、参考にしていただけたら幸いです。