【就職したい方向け】良い就労移行支援の選び方
- どの就労移行支援を利用したらいいか知りたい
- 就労移行支援の選び方を知りたい
- 就労移行支援の探し方を知りたい
こんな風に思っている方は多いのではないでしょうか。
「就労移行支援」とは、一般企業への就職を目指す障害者を対象にした、就職のサポートのことを言います。
就労移行支援事業所は、全国に3500件以上あり、あなたのお住まいの地域にもたくさんの事業所があります。
そうなると、どの就労移行支援事業所を利用したらいいか悩みますよね?
筆者も現在、就労移行支援を利用していますが、事業所選びの時、非常に迷いました。
そこで今回は、就労移行支援の選び方をご紹介します。
記事内容は以下の通りです。
- 就労移行支援の基礎知識
- 就労移行支援を選ぶとき、チェックするポイント
- 就労移行支援に入所するまでの流れ
この記事を読むことで、就労移行支援の選び方が分かり、自分に合った事業所を選ぶことができます。
就労移行支援を利用している筆者が「就職につながる事業所」を解説します!
丁寧に解説していきますので、参考になれば幸いです。
これだけは知っておきたい就労移行支援のこと
まずは、基礎知識として就労移行支援について知っておきたいことを解説します。
就労移行支援とは
そもそも就労移行支援とはなんでしょうか?
就労移行支援とは、障害者総合支援法に定められた障害福祉サービスのひとつです。
一般企業への就職を目指す障害者を対象に、就職に必要な知識やスキルを習得し、就職後も職場に定着できるようにサポートを行うサービスです。
イメージは就職のための学校です。様々なサポートを受けながら就職を目指します。
就労移行支援と似た言葉に、就労継続支援があります。
就労継続支援は、一般企業への就職が困難な方へ、働く機会を提供するサービスです。
似た言葉ですがサービス内容が全く異なるので注意しましょう。
就労移行支援を利用できる人
就労移行支援の利用対象者は、以下の通りです。
- 精神障害・発達障害・知的障害・身体障害・難病のある方
- 65歳未満の方
- 一般企業へ就職を希望する方
障害者手帳は無くても利用できますが、障害福祉サービス受給者証が必要になります。
受給者証の取得方法は、利用する事業所で説明があります。
事業所を決めたら、取得方法を確認してください。
筆者も障害者手帳は持っていません
就労移行支援を利用できる期間
就労移行支援を利用できる期間は、原則2年間です。
(必要性が認められれば、最大1年間の延長が可能。)
この2年間の中で、働くために必要なスキルを学び、就職を目指します。
就職までの期間は、利用者によって異なります。
事業所のスタッフと相談して決めていきます。
就労移行支援を利用する平均期間は約半年だそうです。筆者も半年後卒業を目標にしています。
就労移行支援の利用料金
就労移行支援の料金は、収入状況により異なります。
自己負担の月々の上限金額は、前年度の住民税によって決まります。
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
---|---|---|
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満) | 9300円 |
一般2 | 上記以外 | 37200円 |
ちなみに筆者は、負担上限月額は9300円です。この場合、1ヶ月間毎日利用しても9300円で済みます。
自分の負担上限月額が知りたい方は、市区町村の障害福祉課へお問い合わせください。
こんな人は利用しよう
就労移行支援は、以下のような人が利用しています。
- 就職に対して不安がある人
- 仕事が長く続くない人
- 体調を崩して、何度も仕事を休んだり辞めたりした人
- どんな仕事をしたらいいか分からない人
該当の人は、一度利用を検討してください。
就労移行支援を選ぶとき、チェックするポイント
就労移行支援を選ぶときに、チェックするポイントは7つあります。
- 対象障害
- 就職率と定着率
- 専門資格を持ったスタッフの人数
- 事業所の雰囲気
- 事業所の場所
- カリキュラム内容
- サポート内容
細かく見ていきましょう。
①対象障害
就労移行支援は、事業所によっては対象障害を限定している場合があります。
自分の障害が対象になっているかを、HPなどで確認してください。
②就職者数と定着率
就労移行支援を選ぶ際は、必ず就職率と定着率を確認してください。
就職者数をチェック!
まずは、就職率を確認しましょう。
というのも、就労移行支援の中には、就職者数ゼロの悪質な事業所がたくさんあるからです。
下のグラフを見てください。
就労移行支援事業所による一般就労への移行率別の施設割合の推移です。
平成28年4月に注目しますと、就職者数ゼロの事業所が29.7%もあることが分かります。
(全国にある事業所の3分の1は、就職者数ゼロ!)
また、下のグラフを見てください。
就労移行支援の卒業生の一般就労への移行率の推移です。
平成27年度の一般就労への移行率は、22.4%です。
ビックリしませんか?
就職が目標の就労移行支援を利用しても、4人に1人しか就職できていないのが現状です。
就職率を確認することで、悪質な事業所を見分けることができますので、必ずチェックしましょう。
定着率をチェック!
就職率を確認したら、次に見てほしいのは定着率です。
こちらは、障害者全体の職場定着率です。
半年後の定着率を見ると、
- 身体障害:69.4%
- 知的障害:77.1%
- 精神障害:61.6%
ちなみに大手の就労移行支援の実績を見ますと、定着率は約90%です。
中小規模の就労移行支援の定着率が、かなり低いことが分かります。
定着率を見れば、その事業所のサービスの質が一目瞭然です。
就職率とあわせて確認しましょう。
就職者数と定着率は、多くの場合、HPに掲載されています。
掲載されていない場合は、相談・見学の際に必ず質問しましょう。
良い事業所か悪い事業所かを見分ける大事な指標です。
③専門資格を持ったスタッフの人数
事業所の質を測る指標として、専門資格を持ったスタッフの人数があります。
専門資格とは、作業療法士や行動療法士、心理士、精神保健福祉士などのことです。
専門資格を持ったスタッフがいる事業所は、就職率が高いというデータもあります。
事業所の利用者数に対して、専門資格を持ったスタッフの人数が適切であるかを確認しましょう。
筆者が利用している事業所のスタッフは全員、心理士の資格を持っています。選んだ決め手でした。
④事業所の雰囲気
事業所スタッフと利用者の雰囲気を見ましょう。
事業所によっては、態度の悪いスタッフがいたり、利用者間でいざこざがあったり、いじめがあったりすることもあるようです。
雰囲気が悪いと、通うのも嫌になります。
事業所内の雰囲気は、実際に入所してみないと分からないことです。
ですから、事業所を決める前に必ず体験入所しましょう。
⑤事業所の場所
就労移行支援事業所は、毎日通う場所です。
通うのが苦痛にならない場所であることが大事です。
相談・見学に行く際は、実際に通う時と同じ交通手段で行って、確認しましょう。
また、事業所への通所は、仕事の復帰のための通勤練習にもなります。
通勤を想定して適度に遠い場所を選ぶといいでしょう。
⑥カリキュラム内容
一般的な就労移行支援では、下記のようなプログラムが用意されています。
- 生活リズムを整える
- 安定して通所する
- 自分の障害を理解する(自己理解)
- コミュニケーションスキルを学ぶ
- 基礎的なPCスキルや専門スキルを学ぶ
その中でも、太字の4つが安定して働くためには重要です。
どんなカリキュラムが用意されているか、相談・見学に行く際に確認してください。
また、専門スキルも一緒に身に付けたいという方は、自分の身に付けたい専門スキルが学べるかを確認してください。
PCスキル(Excel、Wordなど)やPhotoshop、Illustrator、簿記、プログラミング…など学べる内容は、事業所によって違います。
ただ、筆者は専門スキルを学ぶことは、あまり重要だと思っていません。
就労移行支援を利用する人にとって、身に付けるべきは太字の4つだと考えているからです。
だってPCスキルや専門スキルがないから、休職したり、仕事を辞めたわけではないですよね?
太字の4つのカリキュラムをまずチェックしましょう。
ちなみに専門スキルを身に付ける方法は、オンラインスクールであったり、本であったり、色々あります。
就労移行支援の隙間時間に自分で勉強するということも可能ですよ。
⑦サポート内容
就労移行支援のサポート内容は、事業所により多種多様です。
就労移行支援は、大きく3つのStepを踏みます。
- 働くために必要なスキルの取得
- 就職活動
- 職場定着
その中で、どんなサポートをしてくれるかを確認しましょう。
特に確認したいのは「面談の頻度」です。
月1回実施する事業所が多いですが、中には3ヶ月に1回という事業所もあるようです。
こちらも相談・見学した際に聞いてみてください。
- 対象障害
- 就職率と定着率
- 専門資格を持ったスタッフの人数
- 事業所の雰囲気
- 事業所の場所
- カリキュラム内容
- サポート内容
就労移行支援に入所するまでの流れ
就労移行支援に入所するまでの流れをご紹介します。
また、後半には大事なポイントも書いていますので、併せてお読みください。
入所するまでの流れ
お住まいの地域の事業所を複数ピックアップします。
電話やメール、HPから問い合わせをします。
事業所に実際に足を運び、相談に行きます。
事業所のプログラムに参加します。必須ではありません。
複数の候補の中から、利用する事業所を決定します。
お住まいの市区町村の障害福祉課に行き、障害福祉サービスの受給者証の申請を行います。
障害福祉サービス受給者証が発行されたら、利用する事業所に行き契約を結びます。
契約に基づいて利用していきます。
入所までのアドバイス
ここで、アドバイスをまとめます。
情報収集の方法
お近くの就労移行支援事業所の探す方法はいくつかあります。
- 主治医に紹介してもらう
- インターネットで「就労移行支援 地域名」と検索する
- 全国の就労移行支援を探せるサイトを利用する「LITALICO仕事ナビ」「障がい者就労支援情報」「障害者雇用バンク」
- 市町村の障害福祉課に相談する
- 専門機関(生活支援センターや障害者職業センター、ハローワークなど)に相談する
オススメは、「①主治医に紹介してもらう」「②インターネットで検索する」です。
インターネットで検索する際に気を付けたいのは、口コミを鵜呑みにしないことです。
口コミ数が数十件あれば信頼度は上がりますが、数件しかない口コミを信頼するのは危ういです。
特に、口コミは悪いコメントが目立ちます。
良い事業所であるにも関わらず、合わなかった数人の書き込みで悪く写ることも。
HPを確認し「良さそう」と思ったら、見学候補に入れましょう。
複数の事業所に見学・体験に行く
これは声を大にして言いたいのですが
事業所を探したら、
- 複数の事業所を見学してください(大手を含む最低2ヶ所以上)
- そして、体験入所してください
多くの皆さんは、就労移行支援を利用するのは初めてだと思います。
そのため、判断材料が少ないでのが難点です。
1ヶ所見て「就労移行支援ってこういう所なんだ」と決めてしまうのではなく、2ヶ所以上の事業所を比較検討してください。
その際に、大手企業の就労移行支援も候補に入れてください。
大手は、サポートした件数が桁違いで、カリキュラムの質が担保されています。
そのため、良い事業所に出会える確率が高いです。
(大手でも事業所によっては微妙という場合もあり)
大手の就労移行支援は、下記にまとめていますので参考にしてください。
また、体験入所も必ずしてください。
事業所の雰囲気をつかむためには、体験してみないと分からないことが多いです。
1日でもかまいませんので、体験入所することをオススメします。
障害福祉サービスの受給者証は早めに申請する
利用する就労移行支援を決めても、すぐに利用できるわけではありません。
役所に行き、障害福祉サービスの受給証を申請する必要があります。
申請から受給者証の発行まで、少なくとも1ヶ月はかかります。
ちなみに筆者は、発行されるまでに2ヶ月かかりました。何度も問い合わせましたが「混み合ってるから時間がかかる」と言われるだけでした。
発行に時間がかかるということは、それだけ復職や就職する時期が遅れるということです。
利用する事業所を決めたら、すぐに申請しましょう。
まとめ:良い就労移行支援を見つけ、就職につなげよう
良い就労移行支援の探し方を解説してきました。
もう一度おさらいをすると、チェック項目は
- 対象障害
- 就職率と定着率
- 専門資格を持ったスタッフの人数
- 事業所の雰囲気
- 事業所の場所
- カリキュラム内容
- サポート内容
そして、大事なのは
大手を含む、複数の事業所に見学・体験することでした。
この記事を参考に、就職につながる良い就労移行支援を見つけれることを願っています。